九州農政局八代海岸保全事業所
江藤俊児所長

丁寧な対応で機動的に事業展開



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 事業開始から5年目に入る八代海岸保全事業。計画した延長5・3`の堤防工では、昨年から耐震対策のための補強工事が本格的に始動した。4月に就任した江藤俊児所長は「丁寧な対応を念頭に、職員一丸となって、機動的に事業を展開していく」と意気込みを語る。




――思い出に残っている仕事は
 長崎、佐賀、福岡の有明海沿岸で、地盤改良工事、排水樋門の基礎杭工事、直径が2〜3bにもなる大口径パイプライン工事や推進工事などを手掛けた。有明海沿岸北部の地盤は、有明粘土が堆積しており、沈下しやすい特性がある。設計・施工は、将来的な沈下を考慮する必要があり難航したが、良い経験をさせてもらった。

――事業の役割とは
 八代は、水稲を中心に、トマトやブロッコリー、イチゴ、メロンといった高収益作物が盛んに栽培されており、全国でも有数の農業生産地だ。事業地の航空写真を見れば、水田とハウスの多さとともに、海側の平野が堤防に囲まれているのがわかる。八代海沿岸の地盤は、砂の堆積が多いため、地震時の液状化対策をしっかり行い、この堤防を強固にしていかなければならない。自然災害から優良な農地と地域住民の安全・安心を守るため、本事業は重要な役割を担っている。

――取り組み状況は
 今年度は約10億円の予算を確保している。全体事業の進捗は10%程度だが、昨年度から堤防補強工事が本格化してきた。基本的には、堤防陸側の耐震対策工事がメイン。液状化対策のための地盤改良工のほか、表面の盛土工、潮遊池の護岸工を同時に実施しており、これから集中的に進める。
 堤防海側の対策工事は、消波工800bが完了した。押え捨石工は、陸側の整備が終わってからの着手になる見通しだ。
 後々は、排水樋門7カ所の耐震補強も行う。そのためには、耐震性能を検証し、門柱の鉄筋の追加や基礎の増し杭などを検討しなくてはならない。地質調査と実施設計に向けて準備していきたい。

――事業の課題は
 事業対象の工区は大正や明治に干拓されており、当時の堤防の石積みなどが埋まっている場所がある。地盤改良では、機械がそうした石に当たって止まってしまい、想定より時間がかかる事例が起きている。石のある箇所を事前に把握したいが、昔の図面が無いので難しい。設計や施工の面で苦労するかもしれないが、現場に適用する地中探査技術の検討などもしながら、取り組んでいく。

――地元建設業者へメッセージを
 災害対応や復旧では、農地、施設、地域住民を守る力強い存在という思いがある。事業を進める上で、大切なパートナーであり、発注の仕方、現場条件に応じた工事規模の設定など、柔軟に対応していきたい。
 熊本県建設業協会八代支部をはじめ、関係者の方々と連携しなければ、事業を推進できない。八代地域ひいては県内全体の活性化のため、ご協力をお願いする。
  ◇  ◇  ◇
【略歴】江藤俊児(えとうしゅんじ)。鹿児島大学農学部農業工学科卒業後、1989(平成元)年に農林水産省入省。九州農政局北部九州土地改良調査管理事務所企画課長、同南部九州土地改良調査管理事務所次長、九州農政局農村振興部事業管理調整官などを経て、4月から現職。大分県日田市出身。1967年(昭和42年)生まれ。
2025.7.11掲載

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