国土交通省菊池川河川事務所
所長 原田隆二氏
現場状況を「よく見て知る」


 国土交通省菊池川河川事務所の所長に4月、原田隆二氏が就任した。TEC―FORCEなどで全国の災害現場をまわった経験から、地域建設業者に全幅の信頼を寄せるとともに、現場主義に徹し、「丁寧な対話と状況を見て知る」を心がける。



――入省後の心に残っている出来事は
 14年8月の広島豪雨災害で、九州地整から砂防TEC―FORCEの隊員として現地に派遣された。警察・消防・自衛隊の方々が行方不明者を捜索されており、新たな土石流等による二次災害が発生しないか、危険渓流を調査し専門的な立場から捜索活動を支援した。人命に関わるという緊張感があり、今でも凄く印象に残っている。
 もう一つ忘れられないのが、17年の九州北部豪雨災害時に、福岡県朝倉市の赤谷川で応急対策工事など現場の陣頭指揮を務めたこと。地元の建設業者が住民と良好な関係を保ち、技術力を活かして応急対策工事にあたっていただいた。土地勘と機動力があって、とても心強かった。

――菊池川流域の印象は
 川とまちの繋がりの大きさを感じている。河川沿いにまちが発達し、菊池、山鹿、玉名といった温泉街のほか、山鹿市には豊前街道の番所「惣門」があり、そこからまちなみや八千代座などの文化施設が存在している。歴史を感じる風情あるまちで、私自身、気分が落ち着き、安らぎを覚える。スイカやメロンなど美味しい果物も多く、楽しみだ。

――主要事業、流域治水の取り組みは
築堤や河道掘削、橋梁・堰改築などのほか、菊池市の迫間川でかわまちづくり、玉名市では河川防災ステーション事業を鋭意進めている。かわまちは今年度に整備を終え、防災ステーションについては用地取得後、盛土工事に入りたい。
治水対策の在り方については、行政と専門家の意見のほか、地域住民、市民団体、業界関係者、学校関係者などから「どんな治水対策(流域治水)を望まれるのか」などの意見を伺い流域治水計画に反映させていきたい。災害形態を踏まえたハザードマップの整備や同マップによる防災減災活動の支援などにも取り組む。

――地域建設業者へのメッセージを
先ほどお話した災害対応はもちろんだが、地域住民等との密な連絡調整など着工までの段取りが重要で、地域精通力など地元業者の幅広な経験が大切だ。一緒に力を合わせて地域の安全・安心に取り組みたい。
 私のモットーは、「現場主義」。数々のTEC―FORCE派遣や4回の出張所勤務、本省災害査定官として全国の災害現場をまわった経験から、「丁寧な対話、現場状況をよく見て知る」といったノウハウを活かして業務にあたりたい。

【略歴】原田隆二(はらだ・りゅうじ)。熊本工業大学(現崇城大学)卒業後、1991(平成3)年に建設省(当時)入省。九州地方整備局河川部建設専門官(砂防担当)、筑後川河川事務所九州北部豪雨復興出張所事業対策官を経て2021(令和3)年4月から国土交通省水管理・国土保全局防災課災害査定官を務めた。大分市出身。1969(昭和44)年生まれ。
2023.5.26掲載

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