国土交通省八代河川国道事務所
所長 安原 達氏
老朽化対策「社会全体で」


写真

 全国的に自然災害が激甚化するなか「人吉盆地や八代平野の地形・地質を考えると、県南地域はまだまだ脆弱であり、強靱化に向けたインフラ整備が必要」と話す安原達所長。前職の本省公共事業企画調整課ではインフラの老朽化対策を担当し、インフラメンテナンス国民会議の立ち上げに携わった。インフラの維持管理は社会全体の問題だとして、民間に対し新しい技術等を積極的に取り入れるよう呼び掛ける。




―就任から2カ月経ちましたが
 県南地域の自治体をまわってみて、首長からは「若い人が減っている」という声を多く聞いた。地域の弱体化が懸念されており大きな課題だ。その中で、我々事務所にできることは何か。水害は地域経済に大きな影を落とすので、まずはベースとなる治水事業について安全・安心が確保されるよう、ハード・ソフト対策にしっかり取り組んでいかなければならない。

―インフラメンテナンス国民会議の立ち上げに尽力されたそうですが
 自治体の予算や人員が少ない中で、朽ちていくインフラをどうやって長寿命化し、更新していくのか。国民会議のコンセプトは、インフラメンテナンスを管理者だけの問題ではなく、社会全体の問題と捉え対処していこうというもの。例えば、民間企業は新しい技術を使って老朽化対策を推進し、市民は認識を深め長寿命化に寄与する。このような考え方のもと、産学官民が一緒になって課題に取り組もうとプラットホームを設置した。当時の経験を事務所での事業にも生かしたい。

―河川、道路事業の取り組みについて
 球磨川では治水対策協議会で具体策を検討しており、流域の自治体も検討の成り行きを注視している。これまでの経緯を踏まえ、事業効果が得られるような施策・スケジュール案の検討を速やかに進めたい。また、萩原・坂本地区は「かわまちづくり」に登録されており、事業を通じて川を生かした地域活性化に積極的に取り組んでいきたい。
 西回り自動車道については、津奈木IC―水俣IC間を予定通り今年度中に開通できるよう、最後の工程調整を行っている。開通後も、水俣地域にストック効果が発揮され、地域の活性化ストーリーが実現するよう、地域と連携した取り組みを進めていく考えだ。

―地元企業へのメッセージを
 インフラが老朽化し自治体の体制や予算も限られるなかで、今後は民間の力やノウハウに頼らざるを得なくなってくる。単に維持するだけでなく、時代の変化に伴って再構築するという考えも必要。民間の方々には、新しい技術の活用やインフラサービスのあり方について、いろんな提案をお願いしたい。

【略歴】安原達(やすはら・たつし)。早稲田大学大学院修了後、1995(平成7)年に建設省入省。国土交通省河川局河川計画課企画専門官、近畿地方整備局大和川河川事務所長、総合政策局公共事業企画調整課交流連携事業調整官を歴任、7月31日から現職。神奈川県出身、47歳。
2018.10.8掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日