未来補償コンサルタント
日本ホームインスペクターズ協会九州支部 南 博支部長
住宅診断で中古市場活性化


写真


 総務省の住宅・土地統計調査速報値によると、全国の空き家率が13・5%と空き家数、率ともに過去最高を更新した。新築住宅の供給過剰や人口減少などが要因とされるが、中古住宅の市場流通量が少ないのも一つ。第三者的な立場、専門家の見地から中古住宅を診断するホームインスペクションの資格試験を実施している日本ホームインスペクターズ協会で、九州支部長を務める南博氏(熊本市、未来補償コンサルタント社長)に、中古住宅市場の課題や資格試験などを聞いた。



――空き家の問題が顕在化しています

 日本の中古住宅の流通量は住宅市場全体の約1割にとどまっており、欧米の約9割に比べて大幅に低く、新築偏重の状態。一方、核家族化と人口減少が進み供給過剰となっている。
 住宅の耐用年数をみると日本の約25年に対し、イギリス140年、アメリカ100年、フランス・ドイツ80年。住宅は、適切にメンテナンスすれば60〜90年は持つと言われているのだが。

――中古住宅が欧米に比べ流通していない理由は何でしょうか
 売買時のホームインスペクション(住宅診断)が普及していないのが一因だろう。中古住宅の購入リスクを減らすため、欧米ではホームインスペクションの普及率が9割を超え、住宅取引時の利用が常識となっている。一方、日本は、中古住宅の場合、任意で5年間の瑕疵担保保険が付けられるだけ。殆どがいわゆる「現状渡し」で、誰も責任を問われないような状況が続いてきた。
 ただ、中古住宅を買い自分流にリフォームするという選択肢から、新築偏重の日本の住宅事情は確実に変化している。国も長期優良住宅化リフォーム事業推進でリフォーム工事を支援。工事前のインスペクションによる維持保全計画作成を求めている。

――平成20年、内閣府NPO法人として日本ホームインスペクターズ協会が設立されました
 安心して中古住宅を購入できるよう、瑕疵(欠陥)の有無などを診断できる専門家を育成し、住宅流通の透明化・活性化を促すことが狙いだ。公認ホームインスペクターの資格試験・研修を実施しており、全国で約850人、熊本県内では10人が協会に登録している。
 ホームインスペクターは、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき個所やその時期、概算費用などを見極め中立的な立場でアドバイスする。いわば「住宅のかかりつけのお医者さん」。欧米では住宅取引時の利用が常識となっており、日本でも近年急速に需要が高まっている注目の業務だ。

――11月15日に、第6回資格試験が実施されます
 協会で9月19日まで受験申し込みを受け付けている。9月6日には、福岡で資格試験ガイダンスを開催し、協会理事が試験参考図書をもとに診断業務の基本的考え方や建築・不動産の知識などを解説する。
 受験者の業種はリフォーム業、建築設計業、建築業、不動産業など、職種は設計、営業、工事監理、施工管理など幅広い。受験資格は無く、他社との差別化、営業戦略ツールとしても、資格取得は有効ではないだろうか。
2014.9.1掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日