熊本県板金工業組合
 代表理事  石崎 禎一氏

 「責任施工保証制度の普及を」
 適正価格のなかで技術と保証をアピール



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 住宅品質確保法に象徴されるように、建物の品質がより厳しく問われる時代。熊本県板金工業組合(石ア禎一代表理事)では、施工管理や品質保証を明確にし、その責任を果たそうと「責任施工保証制度」を実施している。事業量の減少、安値受注、資材高騰と厳しい経営環境のなかにあって、同制度の普及が生き残りをかけた切り札とも言える。石ア代表理事に、保証制度への取り組み状況などを聞いた。




――制度の仕組みを
 優秀な技能と技術を有する技能検定の合格者が施工した物件について検査し、全日本建築板金保証センターが保証書を発行する。補償期間は屋根防水10年、雨樋5年、壁の防水10年で補償限度額は2000万円。当該部分の補修はもちろん、漏水による物品家財などの損害まで補償する。責任と保証を明確にし、末永い安心を約束する制度だ。当然、自分達の仕事に対する自信がなければ出来ない。

――これまでの保証書の発行実績は
 平成19年度は95枚発行し全国で6番目に多い。しかし、仕様書のなかに保証書発行を盛り込んでいる長崎県に比べたら三分の一にすぎないし、制度を知らない組合員もいる現状。
 公共工事について言えば、熊本県の分離発注案件に対しては、この保証を自主的に付けており、評価してもらっている。施工後3、4年経過した時点で自主的に定期点検し、不具合があれば現状を報告し補修を行っている。もちろん、無償での作業だが、お互いの信頼関係を築くことが出来る。今後は、市町村への保証書提出の義務付けや、公的評価の確立を求めていきたい。

――個人住宅等の場合は、ハウスメーカーの保証もあるが
 自分達が携わった工事は、完成すれば終わりではなく「保証期間中は自分達の仕事の範囲ですよ」という考え方。梅雨時に雨樋の調子を尋ねたり、樋を掃除したり、屋根を点検したり‥。飛び込みの営業マンではなく、実際に施工した自分達だからこそ施主から安心して任せてもらえ、評判が口コミで広がっていく。屋根・外壁の専門家として提案できる能力を兼ね備えたうえでの保証書の発行。これを営業戦略として使えば、非組合員や同業他社との差別化が図られる。

――差別化という意味では組合員にも大きなメリットがあると思うが、普及のカギは
 安ければいい≠ニいう風潮の中にあって、メーカーの規格品をただ現場で取付けるだけの取付屋さんになってはダメだ。職人としての技能を身に付けた「技術者集団」であることを決して忘れてはいけない。適正価格のなかで、資格を持った技術者が施工し、保証も付けているということを施主にアピールしなければならない。
 保証制度でお客さんを守るということは、自分たちも守るということ。どんなに自信を持った施工でも、何か問題が起きたらどう責任を取るのか。組合、全日本板金工業組合連合会が後ろ盾になることで、組合員の生活が守られ、経営の健全化にも繋がっていく。
2008.06.26掲載

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