全国CC緑化協会副会長
九州CC緑化協会・熊本県CC緑化協会会長   梨子木 和秀氏



 産業廃棄物である樹木の樹皮を独自の工法“RC工法”でリサイクル活用し、樹木の持つ自然の効果(抗菌性、忌避性)で環境保全の推進に努めている熊本県CC緑化協会。クレーグランド、スポーツターフ、法面緑化などの各分野において、従来の工法に比べ低コスト、環境保全、安全性を発揮し、全国で多くの実績を上げている。「森のパワーをリサイクル 緑豊かな未来のために」をモットーに掲げている九州CC緑化協会・熊本県CC緑化協会の梨子木和秀会長(九機工業(株)社長・熊本市)。同氏に同工法の特徴や今後の戦略などを聞いてみた。

 −まず、RC工法に着目されたきっかけは何でしょうか
 平成7年頃に「ぺーブネット21」という特殊舗装に取り組む全国の会を、我々若手経営者の仲間でつくりました。その仲間の一人の西野建設(株)(徳島県阿南市)の西野社長が来熊し、「“RC”という画期的な商品があり、うちも取り組んでいるから、考えてみませんか」という話がありました。 そこで、静岡県にある全国CC緑化協会本部に、RCターフやRCクレー、RC法面などの現場を見学に行きました。
 まず、静岡県住宅供給公社が造っていた住宅の造成地に公園がいくつかあり、RC混合の公園と、何も混ざってない公園の2カ所を見ました。RC混合の公園は草がほとんど生えてなかったのに対し、何も混ぜていないところは草がボウボウと生えており、その時は、原因も何も解らず、ただ驚きを感じただけでした。
 その次に、静岡県土木部の法面工事現場に行き、岩盤にRCの吹き付けの試験施工を見学に行きました。県の職員とともに、「植物は活着しないだろう」とお互い考えていたところ、予想とは裏腹に、岩盤にも植生があり、しかも一夏しても枯れませんでした。
 そのほかRCターフ現場でも葉や根の成長が、従来より格段に早いのをこの目で確認し、全く理由が解らないまま、「これはすごい商品だ」と実感しました。
 早速、うちも取り組みたいと思ったのと同時に、全国CC緑化協会も、これから全国展開を始めようとした時期でしたので、協会の方から「九州を任せるからやってくれないか」ということで現在に至った訳です
 それと私が一番腰が上がった理由は、産業廃棄物をリサイクルできる」。まさに今の時代にかなった商品であると感じたことです。

−同工法の最大の特性はどういったことでしょうか
 排水性と保水性、相反する性質を同時に持っていることですね。それと半永久的に排水が持続できることですね。
 特徴は、グランドの場合、排水性が良く年間を通して利用時間が大幅に向上できることです。保水性が良く風による土や埃が立ちずらく、場合によりグランドにある土をそのまま利用できますので改修費用軽減につながります。また、樹皮の繊維質によりクッション性が高いことから、思い切ったプレーが可能です。
 また、道路の法面緑化工事に活用できることも大きな特徴です。杉・檜の樹皮は細長い繊維質構造になっており、法面に吹き付ける時、繊維同士が毛布状に絡み合い、法面と一体化した植生基盤を造り上げるため、法面の崩壊を防ぐことができます。
 このほかマルチ緑化や屋上庭園での利用では、作物に及ぼす病害虫の抑制はもとより、抗菌性作用がありますので、雑草の発生が少なく除草作業が軽減できます。一方、ヒートアイランドの防止などで屋上の緑化などが話題になっていますが、RC抗菌性樹皮繊維という繊維質で構成された土壌のため軽く、しかも排水性、保水性が良くローコストの緑化が期待できます。
 それと材料については、第三者の研究機関である(株)CTIサイエンス(勝間田純一郎室長・千葉県柏市明原1−2−6、ヤマニビル、電話04・7147・4830)が、全国CC緑化協会基準、例えばC/N比(炭素率)80以上をクリアしているかを工場毎に毎年検査しています。当協会のRC材料に対しては、厳密な品質管理が徹底されており、安心して使用できるようになっています。

−初めての施工現場はどこでしょうか
 国土交通省川辺川工事事務所発注の五木東小学校グランドです。当時、地元の土木業者を通じて、国から「グランド整備において何か別のいい工法はないだろうか」という問い合わせがあったものですから、即、発注者にRC工法の話を持って行きました。
 国土交通省と五木村役場の担当者は早速、静岡の本部に出向いて工事実績のデータ収集や現場見学を行った結果、「これはいいものだ」ということで即、採用されました。
 五木東小学校は、国が代替で造る小学校だったものですから、今までよりもグレードの高いグランドを造ってあげたいという意図があったみたいですね。

−発注者や利用者における同工法の評判はいかがですか 
 これは、小学校の先生の話なんですが、堅かったグランドが非常に柔らかくなって、子供たちの膝の負担も少なくなったようです。「水はけも良くなり、以前のグランドは、3日くらい雨が降ると使えなかったのが、その日の昼に雨が上がれば、夕方の部活にはグランドが使えるようになりました」と話していました。

−環境問題も含め、今後の戦略をお聞かせ下さい
 植木町立田底小学校グランドや五木東小学校グランドなどの学校あたりの整備をさせて頂いたことによって、今後も生徒達が裸足で元気良く遊べるグランド造りを目指しています。
 それと個人の庭まで事業展開していければということで、まずはRC工法の良さを一般の方に知ってもらうことが大事だと考えています。
 全国CC緑化協会の本部が静岡県浜松市西丘町951(電話053・439・0909)にあり、北海道、東北、関東、甲信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄の11ブロック、30県の協会をネットワークで結び現在、事業展開しています。
 CC緑化の理想は、“地産地消”を原則としておりますので、例えば熊本県で発生した杉・檜の産業廃棄物を熊本県でリサイクルで使いたいと考えておるます。ただ、現実としてある程度の量が見込まれなければ熊本の工場に依頼できません。将来は、熊本の産業廃棄物を熊本で確保して、熊本でリサイクルすることが夢であるとともに、これが全国CC緑化の大方針でもあります。
2004.08.05掲載

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