令和4年建設事業関係功労国土交通大臣表彰を受賞
アバンス 代表取締役 工藤伸 氏
現場にしか答えはない


 大学卒業後、大手地質調査会社に勤務し、明石海峡大橋(兵庫)、寒河江ダム(山形)、大飯発電所(福井)など全国の大型プロジェクトに多く参画した。だが「仕事は面白いが、都会の生活は合わない」と、長男が小学校に入るタイミングで帰熊、42歳で独立した。大手での経験は今も財産になっていると話す。
 「うちは防災関係の会社。社会の役に立つ仕事というのが最大の魅力だ」と胸を張る。モットーは「現場にしか答えはない」。フィールドで答えを出すことを常に心懸けており、「現場を見て、どう処方箋を出すのか描けないと」と力説する。例えて「地盤の町医者」とも。
 熊本地震では、南阿蘇村立野地区で大規模な斜面崩壊が発生した。復旧に2次災害の危険を伴うことから、崩落箇所の上部に地盤伸縮計を設置する業務を担う。亀裂が残る山を仲間と片道3時間かけ、機材を運んだ。「早く復旧したいという一心で、無我夢中だった」と振り返る。
 豊富な経験とリーダーシップで人望も厚く、熊本県地質調査業協会の理事長を6年間、九州地質調査業協会の理事長を4年間担った。九地協では、一般社団法人化や、国土交通省との災害支援協定締結に尽力。ボーリングオペレーターを顕彰する「マイスター(匠)制度」にも道筋を付け、今年5月には九州で14人の匠が初めて誕生している。
 先月古希を迎えた。今回の受賞を「70歳の節目に、今までやってきたことを一つ認めてもらったのかな」と喜ぶ。今後について尋ねると「若い人に来てもらって、技術を伝えたいと思う。現場で一緒に楽しみたいね」。御船町在住、妻と2人暮らし。
2022.8.8掲載

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