2018年春の褒章で黄綬褒章を受章
丹波工業(菊池市)代表 丹波秀朗氏
若者に左官の魅力伝えたい


 2年前、卓越した技能者に授与される「現代の名工」を受賞したばかり。立て続けの快挙に「大変びっくりしている。この章に恥じないような仕事を心掛けなければ」と気を引き締める。
 1981年に地元の高校を卒業し、県内の左官の老舗企業に就職、腕を磨いた。84年には技能五輪全国大会で左官部門1位を獲得。「当時の会社が若手育成にすごく熱心だったお陰」と、育ててくれた会社への感謝を忘れない。左官業を営む父親も会場で見ていたそうで、「とても喜んでくれた」と嬉しそうに当時を振り返る。
 「昔ながらの町屋や蔵の修復、漆喰を使った仕事は、腕の見せ所」と力が入る。左官の仕事は天気や季節に左右される。その時々の判断で、材料の調合や仕上げのタイミングなど、繊細な調整が出来栄えに繋がる。そこをしっかり見極めないといけない。「経験が必要で難しい部分もあるが、綺麗に仕上がったときは達成感がある」。
 2008年から熊本職業訓練短期大学校で6年間、その後熊本市技術専門学院で現在まで指導員を続け、多くの若手技能者を輩出してきた。「若い人に左官の魅力ややり甲斐を伝えたい。一人前になるまでに時間はかかるが、せっかく左官の道を選んだのだから、この職に就いてよかったと思えるような技術を身につけてほしい」と話す。「日々、上達していく生徒を見ているのは楽しい」とも。
 旅先でも、寺社仏閣や町屋、古民家などを目にすると、思わず立ち止まってしまう。どういう風に仕上げてあるのか気になって仕方がないという。左官に対する探求心はまだまだ旺盛だ。
2018.7.23掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日