林野庁 九州森林管理局長に就任した
池田直弥氏
林業の経済性確立がポイント


 熊本県農林水産部への出向後、熊本を離れて早10年。震災で変わり果てた姿を目の当たりにした。「山が荒れていると心が痛む。地震で被災したところを見ると特にそう思います。山はちゃんと育っていますが、昔と違うとショックですね」。民有林でも県の代行で直轄による災害復旧の準備を進めている。何より最優先課題は森林の復旧・復興だ。
 山が好きで林野庁を選んだ。平成16年から出向した県農林水産部時代は『水とみどりの森づくり税』導入に動いた。水源かん養や山地災害防止など多くの公益的機能を持つ森林を県民全体として守り育てる取り組み。今では▽経営放棄され荒廃した森林の整備▽県民参加の森づくりの推進―に大きく貢献している。
 「これからの森林は皆伐再造林というステージがある。国・民有林を問わず伐採したところを確実に更新して地域の森林を守っていかなければならない。これまでは税の活用などにより植えて育てるまでが仕事。これからは木を切って再構築する。林業として経済性を確立することがポイントとなる」。
 そのために如何にしてコストダウンを図ることができるのか。林野庁に帰ってからは、民有林サイドで単価を見直し一括作業、列状間伐などを試してみた。「実証をするのは国有林が一番。組織としてフィールドを持っているし人材の能力も高い。我々が先陣を切って新しい技術開発を検証し、その成果を地域の皆さんと共有したい」との使命感を持つ。
 ゆっくりと着実にがライフスタイル。今は一歩ずつ技術開発や人材育成を進めていくことを心がけている。学生時代は、北、南アルプスの山々にも登った。「週末は時間があれば山歩き。森に行って英気を養っている。何より健康のために歩くことは大事」。山とともにある人生を満喫している。
 東京に妻子をおいて単身赴任。56歳。 
2016.9.1掲載

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