平成19年度「全技連マイスター」に認定された
(有)田中工務店 代表取締役 田中博信氏
「人に喜ばれる家づくりを」



田中博信氏 大工棟梁に弟子入りして以来40余年、「木の良さを伝え、人に喜ばれる家づくり」を念頭に建築大工として一路邁進してきた。全技連マイスターの称号を得た今も、その思いを胸に木造住宅づくりを続ける。
 大工への一歩を踏み出したのは15歳の時。父と一緒に訪れた棟梁の家で唐突に弟子入りが告げられた。それから4年間、盆と正月、祭りの日以外は帰ることが出来ず、住み込みでの修行がはじまる。
 「途中で投げ出したら面子が立たない」という一念で、滅私奉公に励んだ。技術は見て盗むものというのが職人の世界。一から丁寧に教えてくれることもなく、ひたすら師匠の技を見て、技術と木の善し悪しが判断できる目を養った。
 その後、万博景気に沸く関西に単身で乗り込み、大阪や京都、奈良で数々の伝統的な日本住宅の建築に携わり、昭和48年に会社を興す。培ってきた伝統技術を活かして次々と和風の住宅を手掛ける。やがてその確かな腕が評判となり、宮大工ではないのにもかかわらず、神社仏閣の依頼も舞い込むようになった。
 技術はもちろんだが、材料へのこだわりも人一倍強い。丸太の買い付けに各地に出向き、納得できる木に出会うまで探し回る。「一つの年輪の間には、春に生長した柔らかい層と冬に生長した堅い層があり、選ぶポイントこの堅い層が多いこと。技術と素材がしっかりしていれば100年以上持つ」。
 伝統建築の素晴らしさを後世に伝えるため、後進の育成にも力を尽くしている。技術訓練所で講師を務める傍ら、職人を志す7人の若者を会社に迎え入れてきた。最初に教えることは素直で人に好かれることの大切さ=B「素直であれば人の言うことを受け入れることができ、仕事への興味と意欲が自然と出てくる。そうなれば後は自分次第」。巣立つ寂しさを感じながらも、弟子の成長した姿に目を細める。
 山鹿市菊鹿町在住、59歳。
2007.10.1掲載

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