国土交通省熊本営繕事務所長に就任した 川合 明氏

 「建物はシェルターで、雨や陽射しから人間を守るのが役目」と、最近の凝ったデザインの建物に対し警鐘を鳴らす。この春、国土交通省熊本営繕事務所長に就任。県が進めているアートポリス事業には、「自分がこれまで培ってきたノウハウが、これから維持・保全していく上での一助になれば」と協力を惜しまない。

 国土交通省の営繕部門は、官庁施設の建設や修繕を担当する。これまで全国で約1,000万m2の施設が完成している。「今後は保全に力を入れ、計画修繕していかなければならない。もちろん経済性のある施設建設を要望していく」。既存建物の実態調査への取り組みを強調する。

 関東地方整備局や内閣府沖縄総合事務局、本省官庁営繕部監督課係長などを歴任した。自分で設計し、図面も描いてきた。「ゼネコンの管理もしていて、技術的な細かい部分まで指導していた。楽しかったし、自信を持ってやっていた」と当時を振り返る。

 思い出深いのは、東京都霞ヶ関に立つ合同庁舎(地下3階地上20階建延べ約56,000m2)の現場管理。監査業務では、懐中電灯で隅々まで検査し、「そこまで見ますか」と言われた。品質管理に妥協を許さない仕事振りが信条だ。

 現在、所管する事業の中には、熊本第一合同庁舎建設事業が控えている。JR熊本駅周辺まちづくりの核として、九州新幹線建設と合わせ一体的な都市づくりを構想する。今年度は遺跡調査を行い、17年度に基本設計に着手。熊本市・県・国土交通省で構成する再開発関係の協議会も6−7月には発足する見通し。

 「駅周辺の活性化を進め、集える場・憩いの場となる公共施設を提供するという方向性は、市・県・国ともに同じ」。熊本の街を見て「駅前と交通センターにつながりがあれば」と指摘。「連続性を持たせ、歩いて楽しめるようにすることで人の流れが出来るのでは」と提案する。

 九州と聞けば邪馬台国が思い浮かぶという。熊本には初めての赴任で、これから九州各地の古代の里を歩くのを楽しみにしている。

 『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』とは山本五十六大将の言葉。そういう人間になりたいと語る。

 東京都豊島区出身。51才。
2004.06.14掲載

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