全国建築塗装技能競技大会で日本一に輝いた
          (株)こざき  坂本 一美氏


 「これからが大変。いろんな意味でプレッシャーが懸かりそうで」。不安げな言葉を口にするが、その表情には日本一の技≠もつ職人としての自信が垣間見える。

 9月4日と5日の両日、札幌で開かれた全国建築塗装技能競技大会で、全国の厳しい地区予選を勝ち抜いた一級技能士29人が競う「大賞の部」において日本一≠ニなる国土交通大臣賞を射止めた。日本塗装工業会が2年に一度開いているもので、今大会から大賞の部では、前回までの資格取得制限を撤廃。文字通り真の日本一を決める大会となった。

 「びっくりした」というのが率直な感想。競技終了後「3位までには入賞できるかな」と密かな手応えを感じていたというが、審査前の会場からは、作業のスピード、仕上がりとも申し分なく「これで決まり」という声も聞かれた。

 「塗装の仕事は単にペンキを塗るだけ。楽な仕事だと思って」。塗装工としての第一歩を踏み出した当時を振り返る。小さい頃から、物をつくるのは大好きだった。会社には多くの先輩がおり、それぞれのいい技≠盗むことができた。昭和60年の二級技能士時代に参加した大会では2位、一級の資格取得後の平成9年大会では4位。大会規定が変更され、3回目の挑戦が可能となった今大会で見事、リベンジを果した。

 入社時の甘い考えとは裏腹に、日本一の技を持ってしても「塗装の世界は奥が深く、今でも試行錯誤の状態。まだまだ塗装というものを極めていない。これまで手がけた仕事で、100%満足できる出来映えのものもはない」。美への追究は果てしなく続く。

 「彼は、技術がありすぎる分、顧客のあらゆる要求に応えようとする」と目を細める古崎社長。「少しは、コスト面のことも考えてほしいけど」と苦笑する。今後は、後輩への技術指導はもちろん、マネージメント分野での活躍も期待しているという。「本人は、どう思うかわかりませんが」と話す社長の横から「俺は現場が一番好きです」。日本一の職人が、子供のような笑顔ではにかんだ。

 阿蘇郡蘇陽町出身。昭和41年生まれ。妻と「宝物」だという2人の子供の4人家族。趣味は釣り。現在、その腕≠買われ福岡市の現場に単身赴任中。
2003.09.15掲載

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